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2022年12月09日
【翻訳】[インタビュー]『クリスマスキャロル』ジニョン、私の知ってるジニョンじゃない

「私が知ってるジニョンだろうか?」

『クリスマスキャロル』の試写を訪れた映画関係者たちが口をそろえて言った言葉です。舞台上の華麗なアイドルジニョン、ドラマ『ユミの細胞たち』での限りなくスイートなユ・ボビー。ジニョンと言えば一番先に思い浮かぶイメージは跡形もなく、紙やすりのように荒い姿だけが残りました。完全にキャラクターに溶け込める俳優になったのです。

ジニョンの映画初主演作である『クリスマスキャロル』は、クリスマスの朝に遺体で発見された双子の弟の復讐のために自ら少年院に入った兄イル(ジニョン)が、少年院の連中と残酷な対決を繰り広げるアクションスリラーです。ジニョンは1人2役を演じ、毒気に満ちたイルと発達障害を持った純粋なウォルを行き来しました。

作品は生のアクションと赤裸々な表現で青少年観覧不可の判定を受けました。原作のチュ・ウォンギュ作家の同名の長編小説はさらに水準が高いものでした。原作を先に読んだジニョンは映画として表現できるかどうか疑問に思い、その後にもう少し精製されたシナリオを見ると、強くは感じられませんでした。それでも以前見せてくれた彼のイメージとはかなりかけ離れていました。

「『シナリオ通りにしてほしい』と言いました。暴力的な内容が多いですが、やるならちゃんとやった方がいいと思いました。自重して曖昧にするなら、ちゃんとしなければならないじゃないですか。正確に見せようとしたし、ケガをせずにしようとしました。」

新しいことに挑戦してみたいという欲のためでした。心の片隅には「いつか僕もあんな役をやってみたい」という願いがあって、また今の年齢で表現できるキャラクターだと思い、果敢に選択するしかありませんでした。まずは、イルの姿を発見してくれたキム・ソンス監督に感謝するだけでした。


(映画『クリスマスキャロル』スチール/出処:NKコンテンツ)

全く違う2人のキャラクターを演じることができたのは、キム監督の配慮もありました。イルとウォルの撮影順序が重ならないように調整してくれ、行ったり来たりせずにできました。キャラクター分析と感情没入さえ上手にできればよかったのです。

「外的なことも重要ですが、内的なことが重要でしょう。イルとウォルの考え方を悩みました。結論的に、状況は違っても感情は同じだと思いました。イルは家を出た両親を悪く言いながらも会いたいだろうし、ウォルは両親と過ごしたクリスマスが一番幸せだった記憶なので待っているじゃないですか。方法が違うだけで、両親に会いたがっていると思います。」

イルはジニョンにない姿です。世の中への恨みが多いので悪い言葉も簡単に吐きます。怒りで興奮しやすく、拳が先に出ます。半裸で失うものがないかのように飛び込んで血まみれになったりもします。

「そばかすも、そして見えない目元のメイクもして、髪も坊主頭にして、見た目の助けをたくさん借りました。 悪い言葉の演技は序盤はぎこちなく見えたらいいなと思いました。僕も男同士でいたり、GOT7のメンバーたちといる時に悪い言葉を言ったりしますが、イルは最初から悪い言葉を使わなかったと思ったんです。それでわざと同じ言葉ばかり言いました。状況的な面でもぎこちなさが現れることを望んでいました。」

反面、ウォルは病気でもつらくても笑うキャラクターです。彼には発達障害がありますが、イルの荷物にならないようにコンビニでアルバイトもし、自分をいじめる人がいても口に出しません。

「監督が発達障害のある方々と対話できる機会を作ってくれました。記者として働く発達障害の方がいて、5人の方に会いました。演技をする時はその方々を参考にせず、想像しながらやりました。これまで先輩俳優たちの演技を見てきたので、そういったものが僕の体から出たのかもしれません。真似はしませんでしたが、見たものがあったので類似性はあったと思います。でもウォルはいつも笑っていなければならず、不思議と悲しそうなキャラクターなので、他のキャラクターと違っていたのではないかと思います。」

ウォルが同性に性的暴行を受ける場面は容易ではありませんでした。原作でも、なくてはならないポイントでしたが「なければだめか、こんな風にウォルを苦しめなければならないのか」と思うほど大変な場面でした。 ウォルがどれほど苦痛を伴って暮らし、世を去ったのかを直接的に見せることだという考えで勇気を出しました。

「やらなければならないなら、やらないといけないと思いました。僕がやりにくいというより、ウォルをいじめるという考えでした。とても慎重で重要なシーンなので、すべてのスタッフが息を殺して見守ってくれました。僕たちを子どもを扱うように慎重に接してくれました。カメラを移す時も僕たちの邪魔にならないように配慮してくれて感謝しています。とても寒い日でしたがNGも全くありませんでした。」

本人の破格的な演技変身に直面した時は、色々な感情が交差しました。大きなスクリーンにいっぱいの顔を見ていると、10分程度は緊張し、その後から惜しい部分が見えました。もう少しだけ力を抜いていたらもっと立体的ではなかったのか、観客にそこまで負担をかけることなく近づけたのではないか、多くの考えが行き来しました。

「正直、エゴサはしないタイプなんですが、今回はちょっとやってみました。ファンの方が書いたのか分かりませんが、良かったという評価を見て楽になりました。僕が考える僕と、他人が考える僕が違うかもしれないので恥ずかしかったです。いい内容だけ見ました(笑)」

「作品が損をしないでほしいです。最善を尽くしたので、お役に立てていればと思います。一緒に苦労して作った作品なので、良い結果が出るといいですね。意味深い時間を過ごしたい方に『クリスマスキャロル』をおすすめしたいです。『クリスマスはとても幸せそうに見えるので私は嫌いだ』という方にですね。まるで10cmの『What The Spring??』みたいなものです。いろいろなことを感じられる映画です。」

今年の目標が仕事をたくさんすることだったというジニョンは、『クリスマスキャロル』を最後に目標を成し遂げました。『ユミの細胞たち』からNetflix映画「夜叉 -容赦なき工作戦-」、GOT7のアルバムまで一年をぎっしり埋めました。来年には軍入隊も控えており、ソロアルバムも発表する予定です。カン・ブル作家のウェブトゥーン『魔女』を原作とするDisney+ドラマと、映画『ハイタッチ』も準備しています。

「20代最後なので、仕事を頑張ってしっかり記録しておこうと思いました。20代を振り返った時、後悔はしません。途中で迷った時もあれば大変だった時もありますが、何事にも最善を尽くしたと思います。ただ、もう少し大丈夫だと思って臨めたらよかったんじゃないかと思います。あまりにも縛られていたんですよ。」

「印象が良い方だという話をたくさん聞いたりして、僕の顔の限界を感じました。それは多分僕が経験を積んでいくうちに少し変わるんじゃないかと思います。軍隊に行ってくれば悪が生まれるんじゃないでしょうか?欲があるので、これから何でも全部やってみたいです。僕が今できて、感じられることをしたいです。最後にもう一度制服も着てみたいです。観客のみなさんが許してくれるならですが(笑)」